シュクリ・エルムの涙◆
 でも同時に先のことを考えて、二人はついぞ困り果ててしまった。何せこの世の中にピンク・グレーの地毛をした人間なんていない。大人であれば染めているのだと嘘をつけば良いが、学校に通うにはこれでは無理だ。そんな小さな頃から髪を染めさせたくないし……と悩んでいた二人に、ジュエルはまるで自分を挿し込めと言わんばかりに光り輝いた。試しにパパは左眼からジュエルを外して、そっとあたしの瞼の中へ……途端あたしのピンク・グレーの髪は、ママとおんなじホワイト・ゴールドに変わった!

 更にジュエルは自身を黒く染めて、あたしをオッド・アイにはさせなかった。

 でもこれって……ジュエルの脅迫だと思わない?

 ジュエルはあたしをどうしても宿主にしたくて、こんな交換条件を突きつけてきたのだから。

 まるで「自分を入れてくれなくちゃ、髪色変えてあげないんだぞー!」って。

 結局パパは観念して、自分が宿主を放棄することを宣言し、ジュエルはあたしの物になった。

 お陰であたしはホワイト・ゴールドの髪色をして、両目とも黒い瞳をして……そして義眼と言っても『視える』魔法を有することが出来て、普段は何の支障もなく生活が出来ているという訳なのだ。


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