シュクリ・エルムの涙◆
[45]最後の好機? *
「だ、誰? ……あなた」
「おおや……もう気付かれてしまったか」
「えええ?」
震えるあたしの問い掛けに、ママの優しかった面差しは、突然鋭く変貌した! ルクはあたし達の会話について行けず、咄嗟に疑問の声を上げた。この口調、前にも聞き覚えがある……悪意で満たされたこの声は──サリファ!!
「もちろん『われ』しかおらぬであろう? 残念ながら遠隔操作しているだけで、この肉体はわれの物ではないがな……これはユスリハに見せかけたザイーダの一匹……触れても気付かないのは無理もない、元々ユスリハの髪から生み出したのだからな」
「……!」
あたしったら、ザイーダに抱き締められた上に、ずっと手握っちゃってた!!
その忌々しい薄笑いの説明に、あたしの掌は怖気で痺れた。幾らママの髪を使って生まれたとしても、やっぱり沢山の人々を襲った化け物に違いないのだから!
「無駄な抵抗はしない方が良い。ルクアルノ、剣を捨てて降伏をし」
「あ……っ」
「ルクっ!!」
会話の途中で理解の出来たルクは、抜いておいた剣を構えたものの、既にそれは見抜かれていた。先に「ママならぬサリファに操られたザイーダ」はあたしを引き寄せ、背後から腕を絡め、いつの間にか手首から先だけ変身を解いて、鋭い爪を首に突き付けたのだ!
「い、いやだ……あなたはルヴィの身体が必要なのだから、ボクが降伏しなくたってルヴィを傷つけたりしない筈。だったらボクは……あなたに取り込まれない内に、あなたを倒す!」
「ふん、分かっているじゃないか。でも良~く考えてごらん? われの手中にあるのはリルヴィだけじゃない。ユスリハもまたわれの光の中だ」
「ル、ルク! 剣を置いて!!」
「くっ──」
慌てて懇願したあたしの叫びで、ルクは悔しそうに剣を落とした。どうしよう……このままじゃ、ママを助けるどころか、最悪のシナリオになってしまう!
「おおや……もう気付かれてしまったか」
「えええ?」
震えるあたしの問い掛けに、ママの優しかった面差しは、突然鋭く変貌した! ルクはあたし達の会話について行けず、咄嗟に疑問の声を上げた。この口調、前にも聞き覚えがある……悪意で満たされたこの声は──サリファ!!
「もちろん『われ』しかおらぬであろう? 残念ながら遠隔操作しているだけで、この肉体はわれの物ではないがな……これはユスリハに見せかけたザイーダの一匹……触れても気付かないのは無理もない、元々ユスリハの髪から生み出したのだからな」
「……!」
あたしったら、ザイーダに抱き締められた上に、ずっと手握っちゃってた!!
その忌々しい薄笑いの説明に、あたしの掌は怖気で痺れた。幾らママの髪を使って生まれたとしても、やっぱり沢山の人々を襲った化け物に違いないのだから!
「無駄な抵抗はしない方が良い。ルクアルノ、剣を捨てて降伏をし」
「あ……っ」
「ルクっ!!」
会話の途中で理解の出来たルクは、抜いておいた剣を構えたものの、既にそれは見抜かれていた。先に「ママならぬサリファに操られたザイーダ」はあたしを引き寄せ、背後から腕を絡め、いつの間にか手首から先だけ変身を解いて、鋭い爪を首に突き付けたのだ!
「い、いやだ……あなたはルヴィの身体が必要なのだから、ボクが降伏しなくたってルヴィを傷つけたりしない筈。だったらボクは……あなたに取り込まれない内に、あなたを倒す!」
「ふん、分かっているじゃないか。でも良~く考えてごらん? われの手中にあるのはリルヴィだけじゃない。ユスリハもまたわれの光の中だ」
「ル、ルク! 剣を置いて!!」
「くっ──」
慌てて懇願したあたしの叫びで、ルクは悔しそうに剣を落とした。どうしよう……このままじゃ、ママを助けるどころか、最悪のシナリオになってしまう!