シュクリ・エルムの涙◆
『とりあえず……起こってしまったことを悔やんでいる場合じゃないわ。ある程度の事情はもう「カレ」から聞いているから、とにかく早急にこれからのことを考えまショ。まずはどうやって、火口に落ちた三人を見つけ出すのか助け出すのか……ツパイ、その作戦会議の為にも、そろそろ操船室(コクピット)から『カレシ』を連れて来て、ワタシ達にも正式に紹介なさい?』
『か、か、か……れ……し?? タ、タラ、一体何を──』

 おお? ツパおばちゃん、顔が真っ赤になった! さっすが~鋭い! タラお姉様!!

 やっぱりみんなは弓のお師匠様の飛行船に乗っているんだ。

『イヤ~ン、ツパイったら乙女なんだから! 赤目も初めて見たけど、そんな赤面した顔も初めてなんじゃない? 伝令を届けにウチへ現れた時から、意中のカレだって気付いてたわヨ~』

 伝令って……ママがサリファに(さら)われた後、あたしがお姉様のお宅に向かう間に駆けつけたっていう「使いの人」のことだろうか? まさかそんな頃から見破っていたなんて……タラお姉様ったら(あなど)れない!!

『お、乙女でもありませんし! い、い、意中の人なんかでもありませんっ!!』

 そしてツパおばちゃん、こんな強敵を目の前にしたら、どんなに反論しても無駄だってば……。


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