シュクリ・エルムの涙◆
「サリファ……ルクを解放しろ。リル! ルクを選ぶんだ!!」
「アッシュ……!?」

 訳の分からない台詞に惑わされている内に、アッシュがサリファとあたしに叫んだ。ルクを選べって……どういうこと? だったらアッシュはどうするというの??

『ほぉ……アシュリー、自分よりもルクアルノを優先するのか? 地下の結界からでは、ぼんやりとしか見えなかったが……確かにお前ならそうするのだろうな。なのにお前は完全に諦めきれていない。その中途半端な振る舞いが、今のリルヴィを作ったのではないのか?』
「……」
「今の……あたし?」

 あたしは疑問の声を上げた。ジュエルについて、アッシュについて、サリファは一体何を知っているのか……アッシュはただ苦虫を噛み潰したように押し黙っていた。

「ダメだよ……アッシュ! アッシュが一緒でなかったら、ボクも行かない!!」
「「ルク……」」

 今度はルクが拒絶の言葉を発して、アッシュとあたしは驚きにその名を呟いた。横からの必死なルクの眼差しに、想いと言葉を詰まらせたような面差しをしたのも束の間、アッシュは鋭い顔つきを見せる。

「ルク、僕のことなんていいから行くんだ! 三年前に決めたんだろ!? 決意を貫きたいなら、僕に構わず自分を優先しろ!!」
「で、でも……」
「リル! とにかくルクを選ぶんだっ!!」
「アッシュ……?」

 三年前。ルクは何を決めたというの? そしてそれがこの状況とどう関係するの??

『随分と複雑な三角関係だな……なかなか面白いが此処までにしよう。リルヴィ、一人を選べ』


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