シュクリ・エルムの涙◆
「ルクの利用価値……」
アッシュもそれがどんなことかは分からないみたいだった。でもサリファがそのヒントをくれる前に、アッシュは「ルクを選べ」ってあたしに言ったんだ。それはどうしてだったのだろう? 自分のことを二の次にしてまで、アッシュはどうしてルクを救おうとしたの??
「アッシュ……あたし、アッシュもルクも大切な家族だと思ってるよ。二人が一緒に自由になれなくちゃ、本当に嫌だって思ったから、あたしは「両方」って答えたんだ……なのに何故アッシュはルクを優先しろって言ったの? ルクの三年前の決意って何?? どうしてそのためにルクを助けようとしたの!?」
「リル……?」
自由にされたあたしの両手は、気付けばアッシュの前身頃を掴んでいた。その力がいつになく強かったから、アッシュはあたしの名を疑問形で呼んだのだろうか? それともあたしの声が震えていたから?
「リル……泣いているの?」
心配そうな小さな声にハッとする。問われるまで気付かなかった……元々ぼんやりとした視界が更に霞んだのは、涙が溢れている証拠だった。
尋ねたアッシュの声は、誰かに似ているように思えた。誰かじゃない……パパ、だ。パパがあたしを心配している時の声色。いつになく重なった二人の音に、アッシュの心の色も薄っすらと浮かび上がった気がした。
「……タラお姉様が教えてくれたの。アッシュには憧れの人がいるって。それって……あたしのパパなの?」
「え……? ……う、ん」
涙声の問い掛けに、アッシュは戸惑いながらも肯定した。そして思う。パパに憧れた理由と今回のアッシュの選択。それってもしかしたら──
アッシュもそれがどんなことかは分からないみたいだった。でもサリファがそのヒントをくれる前に、アッシュは「ルクを選べ」ってあたしに言ったんだ。それはどうしてだったのだろう? 自分のことを二の次にしてまで、アッシュはどうしてルクを救おうとしたの??
「アッシュ……あたし、アッシュもルクも大切な家族だと思ってるよ。二人が一緒に自由になれなくちゃ、本当に嫌だって思ったから、あたしは「両方」って答えたんだ……なのに何故アッシュはルクを優先しろって言ったの? ルクの三年前の決意って何?? どうしてそのためにルクを助けようとしたの!?」
「リル……?」
自由にされたあたしの両手は、気付けばアッシュの前身頃を掴んでいた。その力がいつになく強かったから、アッシュはあたしの名を疑問形で呼んだのだろうか? それともあたしの声が震えていたから?
「リル……泣いているの?」
心配そうな小さな声にハッとする。問われるまで気付かなかった……元々ぼんやりとした視界が更に霞んだのは、涙が溢れている証拠だった。
尋ねたアッシュの声は、誰かに似ているように思えた。誰かじゃない……パパ、だ。パパがあたしを心配している時の声色。いつになく重なった二人の音に、アッシュの心の色も薄っすらと浮かび上がった気がした。
「……タラお姉様が教えてくれたの。アッシュには憧れの人がいるって。それって……あたしのパパなの?」
「え……? ……う、ん」
涙声の問い掛けに、アッシュは戸惑いながらも肯定した。そして思う。パパに憧れた理由と今回のアッシュの選択。それってもしかしたら──