シュクリ・エルムの涙◆
アッシュが手に持つ剣の柄が、いきなりルクの右手で捕まえられる。刹那アッシュの右手も押し留めるようにその柄頭を抑え込んだ。だけど……でも!
『ありがとう、アシュリー。でも彼は「ルク」じゃない……「ルノ」だよ』
──え?
「なにっ!?」
利き手同士の力比べで、アッシュがルクに負けるだなんて!!
妨害の甲斐もなくスライドした抜身の剣が、折り返されて振り抜かれる! アッシュは一瞬の出来事に反応し、すばやく後ろへ飛び退ったけれど、ルクの切っ先が左上腕を掠め、瞬間鮮血が飛び散った!!
「──くっ!」
「ルクっ!? あ、アッシュ!!」
叫んだ時にはもう、あたしの身体は背後からビビ先生に抱えられて、立てたカプセルの後ろに匿われていた。左腕をダランと垂らしたまま、剣先を突き付けられ身動きの取れないアッシュ。依然彼自身の剣はルクの左腰元にある。
「アシュリー、大丈夫ですか? サリファ……やはりルクアルノの中に居るのですね? どうやって彼を取り込んだのです?」
アッシュの斜め後ろで弓を引き絞ったツパおばちゃんが、冷静な声でサリファに尋ねた。そんな……ルク……さっきまであたしの知っているルクだったのに! ルクの唇から出た音は、突然サリファの声になってしまった。そして呼ばれた「ルノ」──ルクアルノの後半だ。でも、待って……ママの時と同じくザイーダが化けているだけかも知れない!!
「皮一枚斬られただけです。すみません、油断したつもりはなかったのですが、思った以上に力が強くて……ルク、操られているのなら今すぐ目を覚ませ!」
アッシュがツパおばちゃんに、そしてルクに叫び、血で染まった左腕を右手で押さえた。ああ、でも……もしもザイーダだとしても、変身をといて確証を得られるまで、誰も攻撃出来ないよぉ!!
『ありがとう、アシュリー。でも彼は「ルク」じゃない……「ルノ」だよ』
──え?
「なにっ!?」
利き手同士の力比べで、アッシュがルクに負けるだなんて!!
妨害の甲斐もなくスライドした抜身の剣が、折り返されて振り抜かれる! アッシュは一瞬の出来事に反応し、すばやく後ろへ飛び退ったけれど、ルクの切っ先が左上腕を掠め、瞬間鮮血が飛び散った!!
「──くっ!」
「ルクっ!? あ、アッシュ!!」
叫んだ時にはもう、あたしの身体は背後からビビ先生に抱えられて、立てたカプセルの後ろに匿われていた。左腕をダランと垂らしたまま、剣先を突き付けられ身動きの取れないアッシュ。依然彼自身の剣はルクの左腰元にある。
「アシュリー、大丈夫ですか? サリファ……やはりルクアルノの中に居るのですね? どうやって彼を取り込んだのです?」
アッシュの斜め後ろで弓を引き絞ったツパおばちゃんが、冷静な声でサリファに尋ねた。そんな……ルク……さっきまであたしの知っているルクだったのに! ルクの唇から出た音は、突然サリファの声になってしまった。そして呼ばれた「ルノ」──ルクアルノの後半だ。でも、待って……ママの時と同じくザイーダが化けているだけかも知れない!!
「皮一枚斬られただけです。すみません、油断したつもりはなかったのですが、思った以上に力が強くて……ルク、操られているのなら今すぐ目を覚ませ!」
アッシュがツパおばちゃんに、そしてルクに叫び、血で染まった左腕を右手で押さえた。ああ、でも……もしもザイーダだとしても、変身をといて確証を得られるまで、誰も攻撃出来ないよぉ!!