シュクリ・エルムの涙◆
「リル! 出来るだけ身体を丸めて──!!」
「え? あっ、うん!!」
斜め上から聞こえてきたアッシュの声に、顔すら向ける余裕もなかったけれど。言われた内容に自然と従い、あたしはルクの真下で身を縮込ませようとした。
やがて大きな衝撃音と共に右手の鎖がいきなり緩み、少しして左手の鎖も……とにかく両腕を引き寄せて、自分を抱えるように抱き締めた。
衝撃音の後に続いたのは、何かが軋む音と再びの衝撃音、それからゴンゴンと何かが床で弾んだ後に、ゴロンと転がる鈍い音……目を開けると自分の上にはあたしを守るように四つん這いで覆い被さるルクと、アッシュとは逆になる寝台のサイドに、鎖が繋がれていた筈の天蓋の支柱が、天面の布ごと転がっていた。
慌てて振り向いた先には寝台にもたれ掛かったアッシュのカプセル……きっとアッシュはあたしが襲われている間に少しずつカプセルごと支柱に近付き、カプセルごと体当たりしたんだ。倒れた支柱がもう片側の支柱を倒し、あたしを繋ぐ鎖が外れ、天蓋の布もろとも床に落ちた……と、推測された。
「ルク! リルを連れて逃げろ、ルク!!」
「え……ちょっと待って! アッシュも一緒に──」
元に戻りつつあるルクを背後に、あたしはアッシュに詰め寄った。ダメだってば! アッシュもカプセルから早く出してあげなくちゃ!!
『お前か……? お前が邪魔をしたのか? エルム……まさかお前が出てくるとはな……。早く眠れ! お前ごときが出る幕ではない!!』
アッシュを救出しようと寝台の端まで近付いた途端、天蓋のなくなった天井から怒りにまみれたサリファの声が響き渡った。と同時に、見たこともないほどの金色の光の筋が、あたし達を放射状に包み込み……そこであたしの意識は……プツリと、切れた──。
「え? あっ、うん!!」
斜め上から聞こえてきたアッシュの声に、顔すら向ける余裕もなかったけれど。言われた内容に自然と従い、あたしはルクの真下で身を縮込ませようとした。
やがて大きな衝撃音と共に右手の鎖がいきなり緩み、少しして左手の鎖も……とにかく両腕を引き寄せて、自分を抱えるように抱き締めた。
衝撃音の後に続いたのは、何かが軋む音と再びの衝撃音、それからゴンゴンと何かが床で弾んだ後に、ゴロンと転がる鈍い音……目を開けると自分の上にはあたしを守るように四つん這いで覆い被さるルクと、アッシュとは逆になる寝台のサイドに、鎖が繋がれていた筈の天蓋の支柱が、天面の布ごと転がっていた。
慌てて振り向いた先には寝台にもたれ掛かったアッシュのカプセル……きっとアッシュはあたしが襲われている間に少しずつカプセルごと支柱に近付き、カプセルごと体当たりしたんだ。倒れた支柱がもう片側の支柱を倒し、あたしを繋ぐ鎖が外れ、天蓋の布もろとも床に落ちた……と、推測された。
「ルク! リルを連れて逃げろ、ルク!!」
「え……ちょっと待って! アッシュも一緒に──」
元に戻りつつあるルクを背後に、あたしはアッシュに詰め寄った。ダメだってば! アッシュもカプセルから早く出してあげなくちゃ!!
『お前か……? お前が邪魔をしたのか? エルム……まさかお前が出てくるとはな……。早く眠れ! お前ごときが出る幕ではない!!』
アッシュを救出しようと寝台の端まで近付いた途端、天蓋のなくなった天井から怒りにまみれたサリファの声が響き渡った。と同時に、見たこともないほどの金色の光の筋が、あたし達を放射状に包み込み……そこであたしの意識は……プツリと、切れた──。