Dear My Snow【短編】
「一緒に帰るんだよ?ゆき。俺が、何のために無理して帰ってきたと思ってる?」
ゆきの誕生日を祝えるのは俺だけの特権だろ?
囁く声は会社という場所に不釣り合いすぎるほど甘くて。
掴んだ手の甲に柔らかい唇を押しあてられて、体中の体温が上がっていくのがわかる。
「や、鷹春っ、誰かに見られたら、」
「うん、って言うまで離さないよ?」
―――俺は、俺たちのこと、ばらしたってかまわないんだから。
真っ赤になって慌てる私に、意地悪に笑って囁く。
誕生日、覚えててくれたんだ。
「もうっ」
呆れたように言っても、溢れる嬉しさは隠しきれなくて。
死角になってるデスクに座る鷹春に寄り添って。
愛しい彼の額にそっと口づけた。