王子な兄(仮)に出会ったら過保護になってめっちゃ構ってきます
「世間話で、そんなに緊張しないでください」
「…私、あなたを恐れているのかもしれないわ」
カップから視線を上げたフォルテ先生は、少し弱々しく見えた。
「子供のころ、人が目の前で殺されたわ。そいつの血走った眼は今でも忘れられない」
「その人と私が同じだと?」
「いいえ。でも、今もそいつは捕まっていない。どんなに力を尽くしても尻尾が掴めない。
私も、それなりに強い自負はあるわ。でもね、そいつは圧倒的に上なの。
圧倒的な強者。…そういう点で、あなたとあいつは似ている。得体のしれない力を秘めている」