王子な兄(仮)に出会ったら過保護になってめっちゃ構ってきます
2.
ーー朝、ベッドから起き上がり、今日で出ていく部屋を見渡した。
ここには私以外に三人の女の子が寝ている。
その子たちを起こさないように、二段ベッドから階段を使って降りて部屋を出る。
扉を開けると、ちょうど施設長であるサフィが通りかかった。
「おはよう、ルージュ」
「おはようございます…」
彼女は、ルージュをこの児童養護施設に拾ってくれた人だ。
ふくよかな体に藍色のワンピースを着て、いつも首に白いスカーフを巻いている。
ーー不愛想な私にいつも優しい笑みを向けてくれる唯一の人。
私がどんなに周りと馴染めなくても、見捨てずにいてくれた。