王子な兄(仮)に出会ったら過保護になってめっちゃ構ってきます
「ねぇ、見てあの方…」
「まぁ、ご自分で荷物を持たれるなんて…」
「どうして、この学園の制服を着てらっしゃるのかしら」
寮に案内されている間に同じような言葉を何度も聞いた
(そんなに自分で持つのはダメなのか。…貴族の感覚はよく分からん)
わざわざ人に頼む方が面倒だし、荷物もそんなに持っていないのだから
これくらい自分で持ったっておかしくないだろう。
ルージュはそう思うのだが、貴族の感覚ではどんなに少なかろうと自分で持つことはあり得ない。
荷物持ちの使用人も雇えないほど、あの家は貧乏なのだと思われて
軽く見られ、侮られる。
噂は瞬く間に広まり、そこにいろんな憶測も加わるため収拾がつかなくなる。