王子な兄(仮)に出会ったら過保護になってめっちゃ構ってきます
(この魔法だけは、絶対にバレてはいけない)
今日は入学式と学園案内だけなのでカバンは部屋に置いておく。
部屋を出て、昨日魔法をかけた色をたどりエントランスホールに着くと、たくさんの生徒が集まっていた。
「あの方、昨日の…」
「あぁ、ご自分で荷物を持たれていたという?」
「使用人も雇えないほど余裕がないんだろう」
「お可哀想に…」
(かわいそう、ね…)
今まで可哀想という言葉は、嫌というほど聞いてきた。
施設にいたときも、町の人たちがコソコソと話しているのを知っていたし、口にはしなくても憐れんだ目を向けられていた。