王子な兄(仮)に出会ったら過保護になってめっちゃ構ってきます
周りの視線が集まってきたので
頭を下げて王子たちから離れようと背を向けると、手首を掴まれてそのまま手の甲にキスされた。
「挨拶くらいさせてほしいな。美しいレディ」
「……」
振り返ると敵認定した男だった。
手を取り返し、眉間に皺を寄せて睨むと相手は驚いたようだ。
(うん、まったく予想を裏切らない奴だ)
「ハハッ、キースの無駄な色気にあてられて落ちないとは面白い」
「びっくりですね」
「…無駄とはひどいなぁ。でも確かに興味深いね。…失礼しました、レディ」
そう言ってキースと呼ばれた男は頭を下げた。