王子な兄(仮)に出会ったら過保護になってめっちゃ構ってきます


周りの視線が集まってきたので

頭を下げて王子たちから離れようと背を向けると、手首を掴まれてそのまま手の甲にキスされた。


「挨拶くらいさせてほしいな。美しいレディ」

「……」

振り返ると敵認定した男だった。

手を取り返し、眉間に皺を寄せて睨むと相手は驚いたようだ。

(うん、まったく予想を裏切らない奴だ)

「ハハッ、キースの無駄な色気にあてられて落ちないとは面白い」

「びっくりですね」

「…無駄とはひどいなぁ。でも確かに興味深いね。…失礼しました、レディ」

そう言ってキースと呼ばれた男は頭を下げた。
< 59 / 421 >

この作品をシェア

pagetop