王子な兄(仮)に出会ったら過保護になってめっちゃ構ってきます


空気だけではない、実際にテーブルが少し凍った。

みんなルージュの方を信じられないものを見るように見つめている。

今まで直立不動で立っていたメイドも。

ルージュは無言でキースを見つめ返す。

「私に家族はいません。一人も。一度も、いたことはありません。それがなにか?」

「い、いや…。あぁ、あの、ご、ごめん…」

ルージュの言葉にキースは顔を青褪めさせ、狼狽える。

「俺からも謝罪しよう。不躾なことを聞いてすまなかった」

「私からも。本当にすみません」

情けなく狼狽えているキースのために二人は頭を下げる。
< 83 / 421 >

この作品をシェア

pagetop