撫でて、触れて ~ヒーロースーツの彼に恋する気持ちが止まりません~
「それにしてもさぁ~、カレー嫌いの俺がイエローなんて、何の因果かと思うよ……」
二次会が始まってしばらくしたころ、かなり出来上がっているらしく顔を真っ赤にしたつぼっちさんが大げさにため息を吐いた。
戦隊もののイエローというのは、とかくカレーが好きというイメージがあるらしい。
「いいじゃないですか。ヘルメット被ってカレー食べるようなシーン、多分ないでしょ」
役柄のスターリーブルー同様、普段クールな振る舞いをしている伊織くんも、アルコールのせいかややふにゃっとした表情でつぼっちさんの台詞を笑い飛ばした。
「絶対ないとも言い切れないだろ! いや、でもそんなことがあったらと想像しただけで震えが止まらなくなるっ……」
「へぇ、そうなんですね。面白そうだからスタッフさんにチクってみようかな」
「ちょっ、伊織くん! 何でそんな意地悪言うの!」
つぼっちさんと伊織くんのテンポのいい掛け合いに笑いが起きる。想像だけで身震いするとは、よほど嫌いなんだろう。
つぼっちさんこと坪井敬さんと近衛伊織くんは、同じ大手劇団の先輩後輩の関係にあたる。
三十代前半のつぼっちさんと二十代前半の伊織くんだと、圧倒的につぼっちさんの立場が強そうに見えるのだけど、実際は逆。
飄々として冷静な伊織くんが、コワモテの割りにひょうきんな性格のつぼっちさんをイジっている光景をよく見かける。
「しゅうくんもピーマンが出てきたら大変なんじゃない?」
思い出したみたいに、恵里菜さんがヤナさん肩を軽く叩きながら話を振った。
するとつぼっちさんと伊織くんの声が「えっ」とユニゾンする。
「何なに。ヤナさんってピーマン食べられないの?」
「苦いから嫌いなんだって」
「こら、恵里菜。バラすなよ」
半信半疑で訊ねる伊織くんに、恵里菜さんがダメ押しの一撃。
するとヤナさんはちょっと焦った風に口を挟んだ。
「ピーマンって。しかも苦いからって、子どもじゃないですか」
「そう言われると思って内緒にしてたんだけどな」
伊織くんがおかしそうに笑って突っ込んだあと、決まり悪くて頭を掻くヤナさん。
二次会が始まってしばらくしたころ、かなり出来上がっているらしく顔を真っ赤にしたつぼっちさんが大げさにため息を吐いた。
戦隊もののイエローというのは、とかくカレーが好きというイメージがあるらしい。
「いいじゃないですか。ヘルメット被ってカレー食べるようなシーン、多分ないでしょ」
役柄のスターリーブルー同様、普段クールな振る舞いをしている伊織くんも、アルコールのせいかややふにゃっとした表情でつぼっちさんの台詞を笑い飛ばした。
「絶対ないとも言い切れないだろ! いや、でもそんなことがあったらと想像しただけで震えが止まらなくなるっ……」
「へぇ、そうなんですね。面白そうだからスタッフさんにチクってみようかな」
「ちょっ、伊織くん! 何でそんな意地悪言うの!」
つぼっちさんと伊織くんのテンポのいい掛け合いに笑いが起きる。想像だけで身震いするとは、よほど嫌いなんだろう。
つぼっちさんこと坪井敬さんと近衛伊織くんは、同じ大手劇団の先輩後輩の関係にあたる。
三十代前半のつぼっちさんと二十代前半の伊織くんだと、圧倒的につぼっちさんの立場が強そうに見えるのだけど、実際は逆。
飄々として冷静な伊織くんが、コワモテの割りにひょうきんな性格のつぼっちさんをイジっている光景をよく見かける。
「しゅうくんもピーマンが出てきたら大変なんじゃない?」
思い出したみたいに、恵里菜さんがヤナさん肩を軽く叩きながら話を振った。
するとつぼっちさんと伊織くんの声が「えっ」とユニゾンする。
「何なに。ヤナさんってピーマン食べられないの?」
「苦いから嫌いなんだって」
「こら、恵里菜。バラすなよ」
半信半疑で訊ねる伊織くんに、恵里菜さんがダメ押しの一撃。
するとヤナさんはちょっと焦った風に口を挟んだ。
「ピーマンって。しかも苦いからって、子どもじゃないですか」
「そう言われると思って内緒にしてたんだけどな」
伊織くんがおかしそうに笑って突っ込んだあと、決まり悪くて頭を掻くヤナさん。