撫でて、触れて ~ヒーロースーツの彼に恋する気持ちが止まりません~
強敵、現る!
『星河戦隊ファイブスター』の撮影期間は約一年。放映期間とほぼ同等の時間をかけて撮影が進行する。
秋、私たちファイブスターは一大イベントを迎えようとしていた。それは、公開収録だ。
大勢の視聴者にエキストラ参加してもらいつつ、メインキャストのトークショーなどの企画があるこのイベントは、ファンミーティング的な意味合いも強い。この番組枠では恒例の催しなのだそう。
もちろんトークショーに出演するのは変身前の面々であり、私たちは登壇しない。
だとしても私たちスーツアクターにとっては、ファンの前で演技ができるとても貴重な機会なのだ。だから私は、このイベントに並々ならない気合を入れるとともに、激しく緊張していた。
「みのりちゃん、大丈夫?」
出番を待つ間、舞台袖で深呼吸をしている私を見つけた恵里菜さんが、そう声をかけてくれた。
「は……はいっ」
「って、すっごい緊張してるけど」
恥ずかしいくらいに震える声で答える私を笑ったあと、彼女は近くにあったパイプ椅子を音を立てないように引き寄せてそこに座った。
この公開収録は多目的アリーナを貸し切りにして行われている。イベント会場に敵が現れたという設定で、観客席にはエキストラの視聴者たちがひしめき合い、舞台上ではレッド、ブルー、イエローと敵役ふたりが戦闘を繰り広げているところだ。
秋、私たちファイブスターは一大イベントを迎えようとしていた。それは、公開収録だ。
大勢の視聴者にエキストラ参加してもらいつつ、メインキャストのトークショーなどの企画があるこのイベントは、ファンミーティング的な意味合いも強い。この番組枠では恒例の催しなのだそう。
もちろんトークショーに出演するのは変身前の面々であり、私たちは登壇しない。
だとしても私たちスーツアクターにとっては、ファンの前で演技ができるとても貴重な機会なのだ。だから私は、このイベントに並々ならない気合を入れるとともに、激しく緊張していた。
「みのりちゃん、大丈夫?」
出番を待つ間、舞台袖で深呼吸をしている私を見つけた恵里菜さんが、そう声をかけてくれた。
「は……はいっ」
「って、すっごい緊張してるけど」
恥ずかしいくらいに震える声で答える私を笑ったあと、彼女は近くにあったパイプ椅子を音を立てないように引き寄せてそこに座った。
この公開収録は多目的アリーナを貸し切りにして行われている。イベント会場に敵が現れたという設定で、観客席にはエキストラの視聴者たちがひしめき合い、舞台上ではレッド、ブルー、イエローと敵役ふたりが戦闘を繰り広げているところだ。