この世界で生きるために。
第1章
その日は、いつもよりも忙しい日だった。
あちらこちらで、様々な出来事が起きていたから。
僕は【死神】と呼ばれる仕事をしている。
簡単に説明をすれば、霊能力のような力を持った人のことだ。
ただ【死神】は、霊能力とは少し違う。
例えば、電車に跳ねられた人の体だったモノを集めたりもする。
樹海に入り込んで自殺をしようとした者を見つけ出したりもする。
そういう関係のことなら『何でも』するのだ。
戦地に赴いて、救われぬ魂の救済を行ったり、自分が危険な目に合うと分かっていても、僕達【死神】は仕事をしなければならない。
それが、国が定めたことだから。
嫌なことでも、嫌とは言えない。
この世界が少しでも平和であり続けるために。
それが、当たり前の世界だから。
だから僕達は今日も、自分を犠牲にして仕事をこなす。
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