この世界で生きるために。
「ところで…貴方は誰です？」

そういえば、彼とは同じクラスになるのは初めてだ。

「ああ？テメーに教える筋合いはねぇよ。」

「あぁ、『宮崎 翔人（みやざき はやと）』さんですか。ネームプレート、制服に付いていますね。言葉遣いは悪いですが、案外真面目な方なのですね。」

僕が軽く笑いながら言うと、翔人は言い返すことはなく、そっぽを向いた。

その耳が赤くなっていたので、きっと照れたのだろう。

「ねぇ、藤崎くん…ちょっと聞きたいんだけど…」

不意に話しかけてきた人の方を見る。

僕は反射的に飛び退いた。

机と椅子が凄い音を立てて倒れる。

クラス中が驚いたように僕と彼女を見た。

「あ…あの。私…」

「喋るな。座れ。」

彼女の言葉を遮る自分の声は、普段とは違う。

それと共に、何かを悟ったクラスメート達が騒ぎながら教室の外に出た。

「お前…転入生か？」

「はい…藤崎くんの噂を聞いて、どうにか助けてもらえないかなと思って……」

「かなり前から憑いてるな。よく今日まで生きていられたな。」

僕は、彼女から、正確には彼女の背後から目を逸らさずに呟いた。

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