この世界で生きるために。

「はい…私が小学校に上がる少し前からなんです。色んな霊能力者に視てもらったり、神社でお祓いをしてもらったりもしていたんですが…流石にもう耐えられないと思って。」

「……………」

「えっと…藤崎くん?」

「お前、死神ではないが霊能力…いや、霊感あるな。悪いが、僕が今ここでどうこうできる相手じゃない。しっかりした場所と人数が必要だ。死神本部に連絡するから、今日の夜19時に校門前に親を連れて来い。」

僕はスマホを操作しながらそう言い、死神本部に連絡を取った。

「お前、名前は?ネームプレートが付いてないからわかんないんだけど。」

「あ、櫻井 優夢花(さくらい ゆめか)です。」

これが、彼女…優夢花との出会いだった。

この日、確かに僕の止まっていた歯車がゆっくりと動き出したんだ。

「師匠。灯真です。高校のクラスメートに、少し厄介な霊に憑かれている者がいるのですが…えぇ。僕一人では太刀打ちできないですね。……はい、今日の夜19時に校門前に親を連れて来るように伝えました。20時くらいに本部に付く予定です。依頼者の名は、櫻井優夢花。年齢は僕と同じく17です。では、準備を宜しくお願い致します。」

電話を切り、優夢花を見る。

「話はつけた。19時に親と校門前だ。時間厳守でこい。」

僕の言葉に、彼女はただ頷いた。

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