この世界で生きるために。
「はぁ……もう入ってきていいですよ。櫻井さんには強めに結界を張っておきましたし、あなた方に危害を加えられることはないですので。」

教室のドアの小窓からチラチラとこちらを見ているクラスメート達に、ドア越しに声を掛ける。

クラスメートのひとりが恐る恐るドアを開けた。

「お前の口調が荒いときはヤベェ時だって知ってて良かったわ…櫻井の側にいるとろくな事ないって噂もあったし。マジで今年のクラスはツイてねぇな。」

翔人が遠い目をしながら呟いた。

「ははっ。僕が居なかったら、翔人達はこの世からいなくなっていたかもしれないね悪い意味で。」

僕は、にこりと微笑みながら翔人を含めたクラスメート達を見渡した。

クラス中がシーンと静まり返った。

「まあ、何にせよ…僕を避けたり陰口を叩くのは構いませんが、櫻井さんに同じことはしないであげてくださいね。明日にはもう何も憑いていない普通の女の子になりますから…ね。」

その場に居たクラスメート全員がコクコクと誰もが頷いたのがわかった。

「さて、席につきましょう。もうじき始業のチャイムが鳴りますから。」

僕は、自分の机と椅子を直し席に着いた。

廊下からくるそよ風が、不穏な空気を纏っていた。
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