例え私が消えたとしても俺は君の隣にいると誓う
歩き始めて30分経った頃。

鞄の中で携帯が振動していることが分かった。


……電話?

私は歩きながら鞄から携帯を取り出す。

画面に表示されていた名前は湊くんだった。


湊くんから電話?

なんの用事だろう?

普段電話がかかってくることなんてないのに。


不思議に思いながらも私は電話に出た。



「もしもし?」

『あ、優奈ちゃん。突然ごめんね』

「大丈夫だけど……。どうしたの?」

『旅行のことで相談があって。今から会える?』



……旅行のことで相談?

私に?

なんだろう?

湊くんが私に相談なんて珍しい。

それほど深刻なことなのだろうか。

私は戸惑いながらも頷いた。



「駅前集合でもいいかな? 私、駅前に用事があって」

『ありがとう。じゃあ、これから駅前に行くね』

「わかった。暑いから気をつけてね」



そう言って私は電話を切った。
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