例え私が消えたとしても俺は君の隣にいると誓う
「確かに、美波ちゃんの声は小さいかもしれないけど」

「……」

「セリフを全部覚えているのは凄いと思うよ」



誰よりも努力している。

それが美波ちゃんから伝わってくる。


……クラスメイトに無理やり白雪姫の役をやらされて、プレッシャーも大きかったと思う。

悪口言われても逃げなかった。

頑張っている人に、見た目なんて関係ないと思う。



「勝手に盛り上がっていれば⁉」



散々悪口を言っていた彼女たちはこの空気に耐えられなくなったのか、教室を出て行ってしまった。

静まり返った教室。

その中で1番最初に口を開いたのは。



「劇の練習、再開しよう」



西園寺 湊くんだった。

湊くんは穏やかな表情で微笑んでいた。

その微笑みは、この場を落ち着かせるには充分だった。
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