例え私が消えたとしても俺は君の隣にいると誓う
湊くんは私の隣に並ぶ。



「海、きれいだね」

「うん。すごくきれいだよね」



湊くんも私も惹きつけられるように海を見つめた。

この景色を写真に撮りたい。

だけど、写真で撮るよりも今は心に思い出を焼き付けたかった。



「……この旅行、湊くんは楽しかった?」



不意に出た言葉。

自分でも言うつもりがなかった言葉に驚いている。

ちらりと湊くんを見れば、変わらない笑顔で海を見つめていた。



「楽しかった、というよりは思い出深いものになったかな」

「それは……」

「勘違いしないで。楽しくなかったわけじゃないよ」

「うん」

「ただ、みんなの気持ちや感情を知ることができてよかった。幸せな展開も待っていたみたいだしね?」



そう言って湊くんは少し意地悪な笑みを浮かべて私を見る。

湊くんがなにを言いたいのか分かってしまった私。

苦笑いしかできない。
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