例え私が消えたとしても俺は君の隣にいると誓う
「冬弥と付き合ったんだよね?」

「うん」

「おめでとう。よかったね」



私は照れる気持ちを隠すように『ありがとう』と伝える。


冬弥くんとの関係はかなり遠回りだった。

幼い頃からずっと好きで。

その秘めていた感情が空回りして。

すれ違って。

だけど、今は幸せだと笑える。

それも湊くんが手助けしてくれたおかげだと思う。



「ありがとう」

「ん? なにが?」

「その……。いろいろと、助けてくれて」



そう言うと湊くんは私の頭を撫でた。

柔らかな表情。

だけど、その目はどこか切なさを含んでいるようにも感じた。



「って、優奈ちゃんはもう冬弥の彼女だから簡単に触れることはできないか」



湊くんはふふっ、と笑った。


彼女。

その言葉にドキドキした私は意味もなく髪の毛を触る。



「湊くん、からかわないでよね」

「からかっているつもりはないよ?」



そう言って笑う湊くんだけど、それがからかっているように見えるんだってば。


でも。

優しさのある意地悪な笑顔だってことは分かる。
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