例え私が消えたとしても俺は君の隣にいると誓う

壊れかけの女の子。

湊くんは一命をとりとめた。

病室に運ばれていく湊くん。

その横で湊くんのお母さんとお父さんが泣いている。

多分、ご両親には看護師さんが連絡をしたんだろう。

湊くんの手を握って泣いていたご両親の姿を見たら、私は涙を流すことができなかった。


私に泣く資格はない。

そう思った。



「今日は帰ろう」

「そう、ですね……」

「うん……」



私たちにできることはなにもない。

冬弥くんが持ってきてくれた旅行の荷物を手にする。


……帰りたくないな。

廊下を静かに歩いていく冬弥くんと美波ちゃんの背中を見つめる。

手術室の前。

ひとつだけ取り残されるように置いてある湊くんの旅行バッグ。

ここに残されるのは寂しいよね……。


寂しいのはこのバッグなのか。

それとも病院に入院することになった湊くんなのか。


分からないけれど。

このまま、なにも言わずに帰ることは嫌だった。
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