例え私が消えたとしても俺は君の隣にいると誓う
「美波ちゃんの気持ち、聞かせてよ」

「……」

「私は美波ちゃんの友達だから。どんなときでも話は聞きたいと思っていた」



ずっと。

美波ちゃんの気持ちを聞きたかった。

美波ちゃんが後夜祭前に嘘をついたと知った後。

なんで嘘をついたのか理由を聞けばよかったと何度も思った。


それよりも、もっと美波ちゃんといろんな話をすればよかった。

放課後やお休みの日、どこか一緒に遊びに行けばよかった。

美波ちゃんという人間をもっと知ればよかった。


何度も思ったのに、勇気が出なかったのは私。

余裕がなくて自分のことばかりで。

美波ちゃんの話を聞くことすらできなかった。

……しなかった。


さっき、美波ちゃんは謝ったけれど謝るのは私だよ……。



「後夜祭前に嘘をついたのは……。優奈ちゃんが羨ましくて、嫉妬していたんです」

 
美波ちゃんがぽつりぽつりと話し始めた。

震えている小さな声。

その声を聞き逃したくなくて、私は美波ちゃんの言葉に耳を傾けた。
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