例え私が消えたとしても俺は君の隣にいると誓う
午前10時。

先生が病室に来てくれる。

私のこの1か月を見て告げた言葉は。



「摂食障害が強く表れています」

「……」

「以前は拒食症でしたが、今は過食症と言えます」



過食症。

それは、食べ物を摂取せずにはいられない状態のこと。

大量の食べ物を摂取するけれど、太ることへの恐怖から摂取したもの吐くといった行為をしてしまう病気。

私の場合は吐くことができないから、体重は急激に増加する。



「拒食症から過食症に変わるケースも多いです」



過食症は拒食症に比べて”死”のリスクは低いけれど、過食が続くと内科的な合併症も現れてしまう。

危険な病気に変わりはない。

先生はそう言った。



「期間はなんとも言えませんが、まだしばらくは入院していただく必要があります」

「……はい」

「一緒に退院できる日を目指しましょうね」



私は力なく頷いた。


内心、退院とかどうでもいい。

確かに入院生活は暇だけど、病院の外に出ることが怖い。


だから、もう少しだけ。

自分の心に落ちた鉛が解けるまで。

この外部と隔てられているこの病室に閉じ込められていたい。
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