例え私が消えたとしても俺は君の隣にいると誓う
「「「いただきます」」」



箸を手に取り、唐揚げをつまむ。

口に含むと、肉汁があふれた。

幸せの味がする。


唐揚げってこんなに美味しかったっけ?

こんなに幸せな気持ちになれるものだったかな?


違う。

私のために作ってくれた料理。

それを幸せだと思えることが幸せなんだ。


涙が落ちた。

流れ落ちた涙はテーブルに水たまりを作る。



「泣くほど美味しかったか!」

「もうっ。お父さんったら」



そう言って笑い合うお父さんとお母さん。

だけど、その目にも涙が浮かんでいて。

私は生まれてきてよかったと思えた。


この家族に。

この環境に、生まれてきて本当に良かった。


ありがとう。

お父さん。

お母さん。

私を生んでくれて本当にありがとう……。



「今度はステーキが食べたいな」

「ステーキは作るより、レストランで食べたほうが美味いぞ!」

「あら。じゃあ、家族サービスで連れて行ってよね?」

「任せろ!」



笑い声が響く。

私の居場所に、温かい明かりが灯った。
< 258 / 287 >

この作品をシェア

pagetop