例え私が消えたとしても俺は君の隣にいると誓う
「優奈は頑張り屋さんだもんな」



そう言って冬弥くんは席を立ち、答案用紙を受け取りに行った。

冬弥くんの後姿を見つめる。


”頑張り屋さん”。


その言葉が嬉しかった。

……それに。

さりげなく、ぽんぽんと頭をなでてくれた。

冬弥くんが触れたところに手を置く。

大きな手だった。

幼い頃とは違う、大きくて優しい手。

一瞬だったけど、冬弥くんの温もりを感じた。

触れられただけなのに、全身が熱くなる。


先生から答案用紙を受け取る冬弥くんを見つめた。

冬弥くんは。

……私の初恋の人。

だけど、冬弥くんにとって私は”ただの幼なじみ”だから。

今みたいに頭を撫でられるんだよね……。

私は”幼なじみ”で”恋愛対象外”だから。



「ん-……」



冬弥くんがサラサラの黒髪をかきながら席へ戻ってくる。

その表情は悔しげで、なんだか納得がいっていないみたいで。

思わず問いかける。



「どうしたの?」

「あー。間違えたところを見ているんだけど、なんで不正解なのか分からなくて」



冬弥くんは私に答案用紙を差し出す。


……見てもいいのかな。

冬弥くんの答案用紙に手をかけようとした瞬間。
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