例え私が消えたとしても俺は君の隣にいると誓う
「ねえ、冬弥くんってば! 聞いているーっ?」

「答案用紙、勝手に見ないで」

「えーっ? いいじゃんー」



冬弥くんにさりげなくボディタッチをする女子たち。

……見たくない。

他の女の子が冬弥くんに触れているところなんて見たくない。


私は引き出しから数学の教科書を出す。

教科書に集中すれば、女の子たちに絡まれている冬弥くんを見なくていいから……。

そう思ったのに。



「優奈、勉強するの?」



私に向けられた冬弥くんの声が耳に入った。

ハッと隣を見れば、冬弥くんが私を見て微笑んでいる。



「俺に数学教えてよ」

「えっ、でも……」

「どうしてもこの問題が解けなくてさ」



冬弥くんが椅子をずらして私の隣に並んだ。

そして答案用紙を私の机の上に置き、不正解の問題を指さす。
< 5 / 287 >

この作品をシェア

pagetop