例え私が消えたとしても俺は君の隣にいると誓う
文化祭当日。

最終練習を終えた私たちは劇本番に臨む。


……いよいよだ。

体育館のステージの幕が上がれば、美波ちゃんの登場だ。

私は湊くんと一緒に、赤い幕を見つめる。


ドキドキするな。


体育館は暗くて、他のクラスメイトの姿は見つからなかった。



「……緊張するね」



湊くんにそっと耳打ちをする。

ステージへ視線を受けていた湊くんがこちらを見る。

急に顔が近くなって驚く私。

慌てて顔をそらす。



「優奈ちゃんが緊張してどうするの」

「だって。劇の途中で衣装が破れたりしたら……、と思うと冷汗が」

「あ、緊張というより心配?」

「うん」



湊くんが笑う。

他にも人がいるから声を抑えてはいるけれど……。

それにしても、私、変なこと言ったかな。



「冬弥たちがセリフ間違えたら……、とかの心配はしないんだね?」

「それはないよ。あれだけ練習したし、間違えたとしても見守ってくれる人たちはたくさんいるから」

「優奈ちゃんらしいね」

「そうかな」
< 53 / 287 >

この作品をシェア

pagetop