例え私が消えたとしても俺は君の隣にいると誓う
ブーー。

劇が始まる合図。

少しざわついていた会場も静まり返る。

私たちもお喋りをやめ、幕が上がるのを見つめた。


スポットライトが白雪姫の衣装をまとった美波ちゃんにあたる。

わぁ……。

美波ちゃん、綺麗だなぁ。

黒髪でボブカットの美波ちゃんが衣装を着たら、まさに白雪姫。

セリフも観客席まで届いている。

声がしっかり通っている。

たくさん練習したことが伝わってくる。


だけど。



「うわぁ。あれって、1年の如月 美波じゃね?」

「デブのくせに主役とか、ありえねぇだろ」

「親が金持ちだって聞いたぜ? 金の権力ってやつ?」



後ろから男子生徒の声が聞こえた。

冷やかしの声。

クスクス笑う声に気分が悪くなる。



「魔法の鏡ってやつ? に聞いたらどうなるんだろうな」

「あれでしょ? この世界で1番美しい人は、的な!」

「そうそれ! 1番ブスな人は誰、って聞いたら面白いのにな!」
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