例え私が消えたとしても俺は君の隣にいると誓う
冷やかしの声がエスカレートしていく。

騒ぐ男子生徒たちの声も大きくなっていて、きっとステージに立っているクラスメイトにも聞こえているはず……。

美波ちゃん、大丈夫かな……。


振り返って冷やかしの声を止めようとしたそのとき。

隣で劇を見ていた湊くんに手を握られた。

思わず湊くんに視線を向ける。

湊くんは首を横に振っていて。

その目は『大丈夫だから』と、私に伝えていた。



「でも……っ」



思わず声を出してしまう私。

湊くんは静かに微笑んだままだった。

その柔らかい笑顔に負けて、私はステージに視線を戻した。



『まあ! 小人さんたちね!』



美波ちゃんの声が体育館に響き渡る。

先ほどより大きな声。

心無い言葉をはじき返すような、堂々とした演技。

その姿は終盤まで続いて、美波ちゃんがライトを浴びて輝いている姿に引き込まれた。
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