例え私が消えたとしても俺は君の隣にいると誓う
「っ、」



人とぶつかってしまった。

うつむいたまま体の向きを変えたことで、人がいたことに気がつかなかった。

転びはしなかったものの、完全に私の不注意。

謝らなきゃ。



「ごめんなさいっ」



頭を下げる私。

……惨めすぎる。

美波ちゃんと冬弥くんのキスシーンに勝手に嫉妬して。

ひとりで泣いて。

教室に入ることもできなくて。

最終的には人にぶつかってしまった。


もう、嫌だな……。

そんな私の頭に温もりが伝わった。


……手?

優しく撫でるような、温かい手の温度が伝わってくる。



「優奈。大丈夫か?」



大好きなその声が、すっと私の胸に入ってくる。

こわばっていた私の心を一瞬で溶かしてくれた。

力が抜けたのか、再び涙を流す私。
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