例え私が消えたとしても俺は君の隣にいると誓う
「……単純だな」

「単純でいいもん」



冬弥くんと一緒に後夜祭を過ごせるなら。

私は単純でいいんだ。

そっと離れる私たち。



「屋上から見る花火はきっと綺麗だよね」

「そうだな」



そんなことを話しながら教室のドアを開け、入っていく。

ドアを開けた音に反応して、クラスメイトの視線が集まる。

すると、歓声が沸き上がる。



「おっ! 王子様の登場じゃん!」

「姫と王子が揃ったな!」

「全員で記念撮影しようよ!」

「制服姿で写真撮るのー?」

「大丈夫っ! 衣装来ている写真は劇の最中に撮っておいたから!」



盛り上がるクラスメイト達。


姫と王子。

その言葉を聞いても、もう泣かない。

笑っていられる自分がいた。


だって。

後夜祭の花火を、冬弥くんの隣で見ることができるのは私だけだから。
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