例え私が消えたとしても俺は君の隣にいると誓う
冬弥くんが教室にいない理由。

それは夏樹先輩に告白されているから。


……さっきまでの湊くんとの会話はなんだったんだろう。

冬弥くんが自販機に行っている想像をしていた私があほらしい。

自分が惨めに思えてくる。

分かっていたのに。

冬弥くんはモテるから誰かに告白されるのだって不思議じゃない。

それが例え、夏樹先輩が相手でも……。



「ごめん。ちょっと、頭冷やしてくるっ」



私は逃げ出した。

私の名前を呼ぶ美波ちゃんの声も聞こえないふりをして、教室を飛び出した。


なんで。

なんで、なんで。

冬弥くんは夏樹先輩のところへ行ってしまったの?


花火があるって。

『屋上で待ち合わせ』って言ってくれたのは冬弥くんじゃん……。

それなのになんで、夏樹先輩の呼び出しなんかに行ってしまったの?

私との約束が先じゃなかったの?


感情が一気にあふれ出す。

涙が止まらなくなった。

行く先なんて考えていない。

考える余裕なんてない。
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