例え私が消えたとしても俺は君の隣にいると誓う
「綾瀬さんはそのままでも可愛いよー?」

「てか、綾瀬さんも冬弥くん推し?」

「あっ。顔を赤くしているってことはそういうことー?」

「え、あ……」



加藤さんが私の腕をつつく。

これって、いわゆる恋バナの雰囲気なのかな。

加藤さんの顔を見ると楽しそうな顔をしていて。

その表情からは嫌味な雰囲気は感じなかった。


……話して、いいのかな。

美波ちゃんにも話したことないし……。

聞いてほしいかも。



「美波ちゃんも聞いてくれる?」



私が問うと美波ちゃんは微笑みながら頷いてくれた。

加藤さんたちも身を乗り出すように待っていてくれる。

ちょっと、嬉しいかも。

先ほどまで沈んでいた気持ちが少し上がった気がした。



「冬弥くんは幼なじみで。……私の初恋の人なの」



ここだけに聞えるくらいの小さな声。

そんな私の声とは反対に加藤さんたちが大きな声を出す。



「えーっ! 幼なじみで初恋とか漫画みたい!」

「羨ましいーっ」

「そのポジション、交代してよっ」

「こ、声が大きいよ……」



きゃっきゃっ、と騒ぐ加藤さんたちに慌てる私。

だけど、少しほっとしている自分もいる。


だって。

加藤さんたちと笑える日がくると思わなかったから。

それは美波ちゃんも一緒。

クラスメイトの女子と楽しく話せるなんて思いもしなかった。
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