例え私が消えたとしても俺は君の隣にいると誓う
「……湊をこれから誘うって言っていたけど、あいつは確実に行くだろうな」



小さく呟く冬弥くん。

冬弥くんは少し悩んだ様子のあと、美波ちゃんが差し出しているチケットに手をかけた。

美波ちゃんはほっとした様子でチケットを手渡した。



「これ、いくら?」

「このチケットはもらいものなのでお金は気にしないでくださいっ」

「……ありがと」



そんなやりとりの一部始終を見ていた私。


冬弥くんと旅行、か。

何年ぶりだろう。

最後に行ったのは小学生のころだったかな。

家族ぐるみで海まで行った記憶がある。

この旅行をきっかけに話せるといいんだけど……。



「じゃあ、これから西園寺くんを誘ってきますね!」



美波ちゃんは嬉しそうに席を離れていった。

残された私たち。

それぞれ渡されたホテルの宿泊チケット。



「……優奈」



名前を呼ばれてハッとする。

チケットを挟んだ手帳から冬弥くんに視線を向ける。

冬弥くんは私を見ることはなかった。

だけど、名前を呼んでくれた。
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