短編集
✕ ✕ ✕
「やっぱり好きなんだけどお前のこと」
「……」
私は隣の男を見やりながら肉を噛み切る。
ポロリと口の端から肉片が落ちそうになったが、ギリギリのところで舌を使って肉片を受け止めた。
「…… ねぇ、なんかデシャヴなんだけど」
私の手には肉まん、場所はコンビニ前。
前はラーメン屋、今回はコンビニ前、ふむ前よりはましにはなったか?
「―― じゃないわ!」
「全然、良くないわ。雰囲気もっと大事にしろ!」
「言いたくなったんだよ。しょうがないだろ」
彼はピザまんのチーズを伸ばしつつ言葉を繋げる。