短編集
「ほら、バレンタインって必ずしも甘いもの、ってイメージがつきがちじゃないですか」
「それを払拭してやろうと私は立ち上がったわけなのです!」
何故か闘志燃やす彼女に俺は冷たい視線を投げかけた。
「んで、本音は」
タッパーを開けると肉じゃがの匂いが鼻をくすぐる。
癪だが、旨そうである。
「お菓子作るのが下手すぎて料理に逃げました。テヘペロ」
「はい、素直でよろしい」
俺は一旦タッパーを閉める。