短編集
「…… さすがにそれは受け取りかねるな」
なんとか笑顔を保ったまま私は彼との心の距離を表すかのように元居た場所から少し離れる。
「―― そんなっ、なんでですか」
「逆になんで受け取って貰えると思ったかなー」
引きつく笑顔を必死に抑え言葉を紡ぐと
「だっ、だって、この前の判子は受け取って貰えたし」
動揺を隠す気のない彼がよろめいた。
「判子はー…… ほら、まだ君の名字日本で1番多いから使いどころあるかなって」
「遺書は本当に使いどころないじゃん?ってか、なんで遺書?なに君今から死ぬの?」