短編集



「―― っ!」



その瞬間彼女の手から力が抜けた。



「ほい。ゲット」



「あー、ずるい!ずるい」



「今のはずるいです!」



ポカスカ彼女に抗議の意で殴られる。



俺はそれを無視してラッピングを解きチョコを口に運ぶ。



「…… どうですか?」



恐る恐るといった様子で彼女が訊ねてくる。



なんとも、いじらしいことだ。



「んっ、普通に甘い」



「し、旨い」



俺の回答に彼女は安堵の表情を浮かべた。



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