短編集
「そっ、それは良かったです」
それを横目で見ながら俺は心の中で呟いた。
…… 本当は―― 甘い、すごく甘い。
彼女の甘い顔を見ながらの食べるチョコは異常に甘くて。
コーヒーが少し欲しくなる。
が、俺はただ彼女の甘い顔を見つつ旨い、と感想を述べることしかできなかった。
…… お前を見ながら食べるとチョコがより甘くなりました、なんて小恥ずかしい台詞誰が言えるか。
馬鹿。と
チョコが赤い口の中で甘く広がった。