短編集



俺は読み終わった原稿用紙を揃えて机に置く。



「ど、どうだった?」



いつもなら態度や視線がうるさいのに今日は気味が悪いぐらい静かだった彼女が訊ねてくる。



「どうと言われましても、いつも通り面白かったですよ」



「設定は地に足が着いた王道ラブストーリーみたいな感じでしたけど文章がしっかりしてたので読み応えがあって面白かったです」



「でも、1つだけ不満点が」



「ふっ、不満点とは?」



不安そうに彼女がこちらを見てくる。



「やっぱりこれも書きかけでは?」



俺は原稿用紙を指差した。



「途中で終わらせた感がなんかあってそこが不完全燃焼感?ですかね」



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