短編集
香り
「はい、今日のプリント」
白く真新しいプリントを私は彼に差し出す。
「毎回ありがとな。委員長」
それを彼はなんとも人懐っこい笑顔で受け取る。
さっきまで喧嘩をしていた人には到底見えない。
だけど
「頬のそれ痛くないの?」
「んっ?見た目より全然だ。こんなの」
彼の体には生傷が至るところにありその傷で“あぁ、この人喧嘩してきたんだな”とようやく思うことができる。