短編集
そうして現在までに至る。
仕事の内容は至ってシンプル。
鬼川君が授業に出なかった日私が鬼川君を探してプリントを届ける、ただそれだけ。
「なぁ、委員長は面倒臭くねぇの?この仕事」
思考に耽っていた私に彼が唐突に訊ねてくる。
座っている彼は立っている私より目線が少しだけ低いため上目遣いに聞いてくる姿はまるで忠犬のようであった。
噂通りにいくと実際は狂犬なのだろうが、自分の目にはそんな野蛮な生物には見えない。