短編集
「面倒臭いって言ったら喧嘩やめてくれるの?」
私は少し意地の悪さを出して聞いてみる。
「いや、やめねぇけど」
彼があっさりと答えた。
まぁ、予想通りではある。
「でしょ、私が面倒くさいとか言ったところで売られたら買っちゃうでしょ」
私は白い壁にそっと手をつく。
コンクリの固く冷たい感触が手の先から伝わる。
「そもそも私が君にそんなこと言う権利はないし」
「それに私結構好きだよ。鬼川君にプリント類持ってくの」