短編集
「うん?鬼川君何で近付いてくるのかな??」
ジリジリとゆっくりしかし、確実に鬼川君が私との距離を詰めていく。
そこで彼の動きがピタリと止まった。
「委員長は俺に近付かれるのは嫌か?」
彼があざとく小首を傾げる。
っ、いきなりしおらしくなるのは反則っ!
私は心の中で胸を抑え
「―― いっ、嫌ではないけど!?」
ついそう答えてしまう。
「じゃあ、いいか」
彼はいつもの笑顔に戻り私にまた近付き始める。
嫌じゃないって言ったらこうなるの分かってた筈なんだけどな!