短編集
「えっ、あっ」
瞬間、言葉に詰まるが
「…… おっ、落ち着きません」
私は無意識に頭に出たただ1つ答えを口に出した。
白檀の甘い香りが思考を奪う。
「そっか、なら良い」
…… ん?良かった?
呆然と彼に身を任せていると突然強く抱き締められて身動きが取れなくなる。
「ちょ、ちょっと鬼川君!?痛いよ」
彼の腕をタップすると「おっと悪い」と言いつつ腕の力を緩める。
でも離してくれる様子はなく泣く泣く私は彼から離れるのを諦め1つの疑問を飛ばした。
「良かったって何が?」