短編集
「その…… どう思ってると言われましたら…… そのですね」
「嫌いではなくてですね……」
「それはさっき聞いた」
私の顔の少し上のほうから彼の低い声が降り注ぐ。
「うっ!そっ、そうでした」
物理的にも言動的にも逃げ道を塞がれて胸に冷や水とお湯が注がれる気分を味わう。
「嫌いじゃないなら答えは1つだな」
勝手に笑顔で結論出された!
「ちっ、違」
「違うのか?」
彼が叱られた犬のようにシュンとした顔になる。